セッテン通信 021【みなさん、春ですよー!】

【今週の目次】
1. タイポグラフィ塾[トランジショナル・ローマン #3]
2. 先週のベスト○○[通信教育]

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1. タイポグラフィ塾[トランジショナル・ローマン #3]

今週は、トランジショナル・ローマンを語る上では欠かせない
もうひとりの人物「ピエール・シモン・フールニエ(1712–68)」を
紹介していきたいと思います。

フールニエ肖像画_450px
銅版印刷によるピエール・シモン・フールニエの肖像画

フールニエについては以前に花形装飾活字のところで
少し紹介していますのでそちらもぜひご覧ください。
セッテン通信 2017.1.23号  http://settendesign.com/blog

フランス宮廷文化の華やかな
ロココの時代のパリに生まれたフールニエは
さまざまな領域で才能を発揮していきます。

●活字書体製作
●『印刷活字見本』『タイポグラフィの手引き』の刊行
●ポイント・システムの発明
●楽譜用活字の改良と花形装飾活字の製作

これをみるとフールニエがタイポグラフィにおいて
成し遂げたことの大きさを知ることができるだけでなく
活字父型彫刻・活字鋳造・活字版印刷を総合したものが
タイポグラフィであるというフールニエの信念を表しています。
●活字書体製作

フールニエの書体デザインの傾向は
画線の縦横比が大きく、ブラケットなしのセリフ、
均一で整理された画線などで先週まで紹介した
ジョン・バスカヴィルと同様に
トランジショナル・ローマンに分類されるものでした。

特にイタリック体にその傾向が顕著で
フールニエ自身が「当時の手書きの文字の様式に近づけた」と
デザイン意図を述べています。

これらの特徴はのちにモダン・ローマンの代表的な人物となる
「ジャンバティスタ・ボドニ(1740–1813)」などにも
大きな影響を与えたと考えられます。

●『印刷活字見本』『タイポグラフィの手引き』の刊行

1742年にフールニエが刊行した『印刷活字見本』は
世界各地に10部のみ現存していることが知られています。

印刷活字見本タイトルページ_600px
『印刷活字見本』のタイトルページ

この活字見本帳には、大小さまざまなサイズの活字や
花形装飾などが収録されているだけでなく
「印刷技術に献身する者への告示」と題した序文や
異なる活字サイズの間の比例関係を示した
「比較対照表」なども含まれていました。

比例対照表_600px
『印刷活字見本』に掲載された「比較対照表」

そして、フールニエの代表作『タイポグラフィの手引き』は
もともと全4巻を予定されていましたが印刷業者たちとの対立などもあり
実際に刊行されたのは2巻のみでした。

タイポグラフィの手引き1巻_600px3
『タイポグラフィの手引き』第1巻のタイトルページ

『タイポグラフィの手引き』の第1巻は
金属活字の構造と鋳造工程について詳細に解説しています。

そしてこの書物の中で「活字版印刷は活字父型彫刻と活字鋳造の
2つの要素に依存しているのです」といったような語りの内容から
フールニエは書物をつくための総合的な技芸として
タイポグラフィを考えていたことがわかります。

と、いったところで今週はここまで。
次回は残りの2つの項目についてみていきたいと思います。
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おまけコラム
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本編で紹介した『印刷活字見本』と『タイポグラフィの手引き』に
収録されている活字書体を比較してみるとおよそ20年間の
フールニエ活字の発展が理解できるそうです。

フールニエはおもにシセロ(長さの単位)を中心とする
本文用のサイズについてたくさんのヴァリエーションを追加していました。

これらのヴァリエーションについてフールニエは
『タイポグラフィの手引き』の中でこのように述べています。

…………と引用文を書こうと思いましたが
フランス語?の用語がバンバン飛び出して理解に時間がかかるため
今回は割愛します。笑
興味のある方は『欧文書体百科事典』274ページをご覧ください。

微妙な差異しかないようなそれぞれのヴァリエーションを
フールニエははっきりとした意図を持って製作していたようです。

かつて、活字父型彫刻師が1本1本製作していた時代の活字父型は
おのずと活字サイズごとに文字形象が異なっていました。

それが、現在「オプティカル・スケーリング」と呼ばれて
電子活字にも応用されるようになったわけですが
フールニエは18世紀の時点において下図の5種のローマン体のように
同一サイズでありながらも使用目的に応じて微妙な差異をもつ
ヴァリエーションを開発していたのだとか。スゴイ…

タイポグラフィの手引き2巻_1200
『タイポグラフィの手引き』第2巻に収録された活字書体見本

自分には見えているわずかな差異を信じて
それを追求していける精神力の強さに脱帽です!
人の批判を恐れがちな僕にはマネできそうにありません。笑

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それでは、今週もタイポグラフィとの良い接点を。
[参考・引用元]
Acanthus Typography School
欧文書体百科事典
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2. 先週のベスト○○[通信教育]

先週の土曜日が4月1日で学校関係は新学期を迎えましたね。
4月はワクワクなことがたくさんあって嬉しい限りです!

その中でも一番ワクワクしているのは…わたくし…
「念願の芸大生になります」イエーイ、パチパチパチ〜!!

京都造形芸術大学に非常勤講師として行かせてもらうようになり
早いもので今年度で8年目を迎えました。

昨年からはマンデープロジェクトという京造名物の授業も受け持ち
本当にいろんな経験をさせてもらったことで
「もっと教育に関わっていきたい」という想いが
ボクの中にムクムクと芽生えてきました。

しかーし!! しかしですよ!! 世の中そんなに甘くはありません。
高卒(めっちゃ普通の公立高校の普通科)という学歴の僕が
大学機関の教育に正規の形で携わるということは高いハードルでした。。

「ま、そんなもんだよなぁ…」と石ころ蹴飛ばしながら歩いた日々。
(ちょっとダサめの歌詞みたいですが笑)

そんな日々の中で、僕のまわりの人たちは
「○△□×××○△□××□△○」「××○△□×××□△□××△□×□△○」などの言葉で
どんどん背中を押してくれました。
※ここに書けないような過激な発言も多くありましたので
内容はご想像にお任せします笑

そして、36歳の僕はついに決断しました。
「そうだ、学士を取ろう!」と。
ということで、2017年4月1日付で京都造形芸術大学
通信教育部の学生になりました。
手のひら芸大というインターネット学習の形ですが
4年間頑張って卒業したいと思います。

先生としての授業も引き続き受け持つことになっていますので
「学生」「先生」「デザイン会社」などなど
なんだかおもしろいことになっています! 笑

人生一度きりですし家族には迷惑をかけているかもしれませんが
いろいろやりきっていきたいと思います!!

みなさんは最近何に挑戦してますか?
ぜひ聞かせて欲しいのでお便りお待ちしていまーす。笑

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