r.i.p. mr. helmut schmid

僕が今まで生きてきた37年という短い人生の中で
師と仰ぐ方が二人もいることはとても幸せなことなのかもしれません。

そのうちの一人であり、僕にタイポグラフィの心を教えてくださった
タイポグラフィ界の巨匠、ヘルムート・シュミット先生が
7月2日の早朝に亡くなられました。

まだまだ、心の整理がついておらずうまく文章にできないため
この文章も書いては消してを繰り返しています。

独学でデザインの世界に飛び込んだコンプレックスまみれの僕に
一筋の光を見せてくれたのがシュミット先生でした。

自分の進むべき方向や今なにをすればいいのかわからなかった時
最後の望みを託して出したシュミット先生への一通の手紙。
「タイポグラフィを教えて欲しい」といったような内容を
友人の力を借り英語に翻訳し、万年筆を使って丁寧に書きました。

その返信が届いたのは、手紙を出してから1週間ほど経った
2010年8月20日のことです。

そこには、このように書かれていました。
your handwritten letter in perfect english arrived today
in which you write about your interest in typography.
to work in typography takes a lifetime.
for me each new work is a new challenge, is a hard work.

こんなに世界的に有名なタイポグラファでさえも
日々挑戦しているんだと知った時に不思議と前を向くことができました。

それから定期的に先生の事務所へとお邪魔させてもらい
ときに厳しく、ときに笑顔でいろいろなことを教えていただきました。
毎回緊張の連続でしたが、とても幸せな時間でした。

まだまだ聞きたいことがいっぱいあったのに…
やっぱり後悔先に立たずです。

3日の朝、最後の挨拶のためにご自宅へと伺いました。
そこには今にもパッと目を開いて「ソウジャナイデショ、ヒラヤマサン」と
叱ってくれそうな先生が静かに静かに眠っていました。

僕にはシュミット先生のようにあんなにストイックに
タイポグラフィと向き合うことはできないかもしれません。

ただ、先生からいただいた「タイポグラフィとは
人生をかけて取り組むものです」という言葉を胸に
これからも自分らしくタイポグラフィと向き合っていきたいと思います。

そして、自分自身が先生から教わることで活路を見出したように
タイポグラフィやデザインを真剣に学びたいと思っている後進たちに
出来る限りのことをしていきたいとも思っています。

 

シュミット先生、本当にありがとうございました。
さようなら、安らかにお眠りください。